PANOVOTEC社は、MSC 8X8マルチスペクトルカメラで、高解像度かつ測定時間が短い、新しいタイプの測光分析用システムを開発しました。2つのフィルタホイールを使用することにより、カラーフィルタの組み合わせが可能となり、さらに多くのカラー情報を得ることができるようになりました。45メガピクセルのセンサを搭載したJAIの高解像度カメラは、最適な画像キャプチャを保証します。
多くの業界では、カラー仕様に忠実であることが、重要な品質特性となっています。例えば、自動車業界では、車内の制御装置やディスプレイ、ルームランプの当たり方を正確に一致させることが重要視されています。医療技術では、LED手術室の照明やその他の多くの部品は、この業界の厳しい要求を満たすために、厳格な仕様に応えるものでなければなりません。さまざまなデバイスやシステムで、プラスチックの装飾パネルを組み立てる前に、色の一致を確認しなければならないのは、多くの場合、見た目の美しさのためだけではありません。システムの付加価値は組み立てステップごとに高まるため、後の工程で色の合わないパーツを交換するとコストが高くなってしまったり、交換することすらできなくなってしまったりするからです。このようなタスクのために、テスト&オートメーション会社のPANOVOTEC社 (ドイツ、ニュルンベルク) は、色度座標、輝度、および光学均質性を確認できるシステムを開発し、導入に成功しました。JAIのSP-45001-CXP4カメラを搭載した最新のシステムは、色の測定と分析において優れた性能を発揮します。
PANOVOTECのマネージングディレクターのトビアス・ポストラーはこう説明しています:
“新しいMSC 8X8マルチスペクトルカメラは、測光分析用の従来品をさらに発展させたもので、従来品に比べて可能性が飛躍的に向上しています。私たちが独自に開発したダブルフィルタホイールを使用することで、ユーザーは2x8の重ね合わせたフィルタ位置を自由に変更し、自動的にビーム経路に取り込むことができます。その結果、64種類のフィルタの組み合わせができます。これは、当社の調査によると、市場でも類を見ないものです。”
45メガピクセルの解像度
この新開発において重要な要素は、JAIのSP-45001-CXP4モノクロカメラです。JAIのSparkシリーズであるこのCMOSカメラは、45メガピクセルの非常に高い解像度と14ビットの高ビット深度を持ち、HDR(ハイダイナミックレンジ)モードで動作することができます。MSC 8X8のカラーフィルタと組み合わせることで、その特性から非常に正確な測光分析が可能になり、輝度、主波長、色位置などの値を決定することができます。
このシステムは、連続生産工場でのインライン使用にも、実験室やランダムサンプル試験などのオフライン使用にも適しています。しかし、その本来の目的はインラインでの使用です。そのため、PANOVOTECはグローバルシャッタ、最大画像取得レート38フレーム/秒、画像処理コンピュータへ 1 チャンネルあたり最大6.25Gbpsのデータ転送が可能な、2 チャンネルまたは4チャンネルのCoaXPressインタフェースを備えた、このSparkモデルを選択しました。このモデルは、設定した露光時間と使用する出力パラメータに応じて、異なる露光レベルで0.5秒からのサイクルタイムを達成することができます。これは多くのインラインプロセスに対して十分な速度です。
実績のあるカメラパートナー
PANOVOTECは、すでにほかの機種のJAIカメラを採用していました。マネージングディレクターのポストラーマによると、その際のサポートも非常に良いものでしたが、MSC X8Xの開発で更にその良さを確認することができました:
“JAIに依頼したのは、カメラ画質に対する要求が非常に高かったからで、それに応えることができたのが、今回のSparkモデルでした。45メガピクセルの優れた解像度に加え、システムに組み込まれたカメラが優れた耐衝撃性と耐振動性を持ち、複数のPCでの分散画像処理を可能にすることも重要でした。これは、SparkカメラのCoaXPressのリンク共有機能を介して可能になりました。”
これらの技術的な利点に加えて、ポストラーは、JAIを支持する他の要因があったと言います:
“サポートが優れていて、JAIの担当者は、一般的な問い合わせやカメラのファームウェアに関して、常に信頼性が高く、適切なアドバイスをしてくれました。営業からアフターフォローまで、私たちは常にプロフェッショナルでフレンドリーな協力体制に頼ることができました。たとえば、JAI は常に指定した配送日を遵守してくれます。それは当たり前のことではありません。”
JAIは、適切なカメラモデルを選択することだけでなく、レンズやレンズフランジの選定、さらにレンズとカメラの距離の選定においてもPANOVOTECをサポートしました。さらに、高品質の測光解析の基礎となる、できるだけノイズの少ない画像を取り込むには熱管理が必要となるため、JAIは最適な温度管理のための貴重なノウハウを提供しました。MSC 8X8に搭載されたペルチェ冷却ユニットは、システム全体をアクティブに冷却するため、カメラセンサも冷却されます。
柔軟に使用可能
マルチスペクトルカメラシステムでは、その柔軟性の高さを発揮することができます。PANOVOTEC社は、既存の要件に基づいて最初に異なるフィルタのコンビネーションで組み立てて、キャリブレーションを行うという方法で、その柔軟性を活用しました。現在、この目的のために、2つのフィルタホイール用に最適化および検証された構成が2つ存在します。この構成では、3つのCIE三刺激値フィルタまたはマルチスペクトル測定用の複数のフィルタが使用されます。ただし、お客様の要件に応じた個別の構成も可能です。
PANOVOTEC社の関連ソフトウェアは、必要な出力パラメータに応じて、さまざまなフィルタの組み合わせを使用して自動スナップ・シーケンスを実行します。その後、RAW画像データは、それぞれのカメラ/フィルタの組み合わせ用に保存されたキャリブレーション機能を使用して、有効な物理/技術単位、すなわち測定値に変換されます。必要なすべての計算のアルゴリズムは、関連するソフトウェアにすでに組み込まれているため、ユーザーは準備に長い時間をかけることなくシステムを使い始めることができます。現在、このシステムはPANOVOTEC社のテストシステムに組み込むように設計されています。これにより、実証済みのソフトウェアを含め、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションが提供されます。画像処理のノウハウをお持ちのお客様は、PANOVOTECからこのシステムを別途購入し、独自のアプリケーションに組み込んで、実験室内でスタンドアローンシステムとして使用することもできます。
意味のある結果
マルチスペクトルカメラシステムは、照度分布、光強度分布、色座標、主波長、離散スペクトル特性、および相関色温度についての正確な測定値を提供します。この情報により、入荷物検査、生産現場での品質保証など、他の多くのアプリケーションで有意義なテストが可能になります。
ポストラーは例を挙げます。
“ドイツのスポーツカーメーカーのサプライヤーは、すでにコックピットで使う部品の最終テストシステムでMSC 8X8を使用していて、その結果に非常に満足しています。このシステムにより、顧客からのクレームにつながるような、間違った波長や明るさのLEDなど、誤った照明部品を搭載した製品が出荷されなくなりました。また、夜間に最大輝度制限を超えた場合に、誤ったメータリングやキャリブレーションによってドライバーが失明するリスクも排除できます。”
また、医療業界のモニタでは、輝度と均質性が要件を満たしていることが非常に重要です。X線画像を表示する場合、これらのモニタは蛍光スクリーンの前の従来の画像に変わるものであり、均質性に揺らぎがあってはなりません。なぜなら、均質性に問題があると、最悪の場合、医師による誤診につながる可能性があるためです。
“当社の調査によると、現在、MSC 8X8と測定精度および速度の点で競合できるカラー測定カメラシステムは市場にありません。ハイエンドアプリケーションにおいて、当社のマルチスペクトルカメラは現在、要求の厳しい顧客要件に確実に応えることができる唯一のシステムです。その中でも、システムに組み込まれているJAI のSparkカメラは、その高い解像度と速度により、システム全体のパフォーマンスにおいて非常に大きな割合を占めています。」とPANOVOTECのマネージングディレクターは述べています。”
PANOVOTECについて
PANOVOTEC GmbH(www.panovotec.com)は、1990年にテストシステムおよびオートメーション技術の企業として設立されました。それ以来、Papp Groupの一員として、テストおよびオートメーション分野関連のすべての市場向けに、お客様に特化した特別なソリューションを提供するサプライヤーとして発展してきました。特に、ハプティクスや光学検査の技術開発は、世界的にもユニークなものです。
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