半導体製造の後工程であるパッケージングやテストの工程において、リードフレームはチップを固定するための枠=フレームの役割と、チップを外部と電気的に接続する配線=リードの役割、その双方を担っています。リードフレームの品質は、半導体パッケージの製品としての信頼性や、生産歩留まりにダイレクトに影響します。酸化、変形、スクラッチ、変色、過剰エッチングといったような小さな欠陥が、半導体パッケージ自体の製品不良の原因となるだけでなく、その半導体が最終的に搭載された機器の故障を早めるといった可能性すらあるのです。そのため半導体メーカーでは、安定した品質の確保と製造歩留まりの最大化を目指して、全自動外観検査を導入することが増えています。
マシンビジョン技術が進歩した現在でも、半導体リードフレームの検査は依然として難易度の高い作業です。検査システムには、次の 3 つの主要課題を乗り越えることが求められます。
マイクロメートルレベルの欠陥を検出するには、110 mmの視野全域で約 6μm のピクセル解像度が必要です。この精細さを実現するには、超高解像度と高速スキャンを両立できるカメラが求められます。
リードフレームは光の反射率が高い金属製で、また、ピンの段差やダムなどは立体的な形状をしています。一般的な照明手法を用いるとグレアや反射によって欠陥が見えにくくなり、検出漏れのリスクが高まります。
半導体のパッケージングラインやテストラインは高速稼働しているため、生産スピードを遅らせることなく、大量の画像データを取得して分析する必要があります。高画質と高速処理の両方を実現できる検査システムが求められているのです。
こうした検査上の課題を解決するため、JAI のソリューションでは、Sweep シリーズのラインスキャンカメラ SW-16000TL-CXP4A と高精度のテレセントリックレンズ、そして最適化された照明システムを組み合わせました。これらのコンポーネントが一体となって、高い信頼性を備えた半導体リードフレーム検査に必要な、高解像度イメージング、高速性、照明コントロールの全てを実現します。
この検査システムの中核を担うのが、JAI の Sweep SW-16000TL-CXP4A です。高い性能が求められる半導体検査向けに設計された、トライリニア式 CMOS カラーラインスキャンカメラです。
このカメラは RGB 各 1 ラインの計 3 ライン × 16,384 ピクセルの画素数を備え、広い視野の全体にわたって微細な欠陥を検出可能とする、16K でのカラー撮像を実現しています。スキャンレートは最大 100 kHz (毎秒 100,000 ライン) で、超高解像度と、最新の半導体製造ラインの稼働スピードを乱すことのない高スループットを両立しています。
このカメラは 5 μm × 5 μm の画素を採用しており、より小さな画素を搭載したカメラと比較して優れた光感度を有しています。また、画素サイズが大きいことで、ダイナミックレンジの拡大、S/N 比の向上、全体的な画質も向上しています。
カメラの光感度が高ければ、同じ照明条件下でも検査速度を上げることができ、あるいは逆により低い照度での検査も可能となるため、照明設備の要件を軽減することができます。さらに高い感度が必要な場合は、2 × 1 の水平ビニング機能により有効画素サイズを 10 μm × 5 μm に拡大し、集光性能をさらに向上することもできます(その場合の画素数は 8192 ピクセルとなります)。
16K 撮像によって生成される大容量データを処理するため、本カメラには CXP-6および CXP-12 構成の両方に対応した CoaXPress 2.0 インターフェースが搭載されています。各レーンの転送速度は最大 12.5 Gb/s、4 レーン合計で 50 Gb/s の帯域幅を実現しています。
加えて、この CoaXPress インターフェースは、カメラのトリガや Power over CoaXPress (PoCXP)、フレームグラバー 1 枚使用のマルチカメラシステム構成にも対応しています。
遅延が低く信号ジッタも最小限に抑えられており、高速検査の過酷な環境下でも安定した画像取得が可能です。
この検査システムは 0.5 倍のテレセントリックレンズを採用しており、110 mmの視野全域にわたって均一な画質を実現します。テレセントリック設計のレンズは、遠近誤差や歪みを最小限に抑え、高い信頼性を備えた寸法測定や欠陥検査に不可欠な精度を提供します。
同軸照明と角度付きストリップ照明を組み合わせたシステムにより、欠陥の視認性を最大限に高めています。
同軸照明は、光を反射しやすいリードフレームの表面全体に均一な照明を照射し、グレアを低減して画像の均一性を向上させます。角度を付けたストリップ照明は、影を作り出すことで三次元的な特徴の視認性を高め、表面の欠陥を検出しやすくします。
JAI の Sweep SW-16000TL-CXP4A カメラに、テレセントリックレンズと最適化された照明を組み合わせれば、画質や測定精度を犠牲にすることなく、半導体リードフレームを確実かつ高速に検査できます。リードフレームの検査以外にも、このイメージングプラットフォームは、ベアウェハ上の微細なクラックやスクラッチの検出、パターン形成済みウェハ上のパターン欠陥検査やフォトマスクの位置合わせ、さらには半導体パッケージの品質検査など、半導体製造分野の検査や測定に幅広く活用可能です。